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TAMAKOSIの日記

体育・スポーツや教育にかんしてかんがえたことを中心につづっていきます。研究会の情報も案内していきたいとおもいます。

(ちょっと解説・総論的)低学年のじゃまじゃまサッカー教材をかんがえるー匠の会(2015、3、6)報告資料よりー

先日東京の若手教師の自主サークル匠の会に参加してきました。

 

低学年のじゃまじゃまサッカーについての学習会を担当したのでそのレジュメをちょっと加工して掲載しておきます。図や写真がうまくはいらなかったので、ちょっと説明をつけくわえました。報告したものなのでちょっとながいです。

 

1.「じゃまじゃまサッカー」とはどのようなサッカー教材か?

(1)まずはじめに、実践者の声から。

 

 こんなサッカーの授業から脱却できる教材

   ・「1つのボールをめがけてみんなが必死に走り回るだけの授業」

   ・「うまい子だけが活躍して他の子は走っているだけの授業」

   ・「サッカーのポイントがわからず何をすればよいのか見通しがもてない授業」

 

 ①村上さんの小5実践後の実感(『たのスポ』2007,7)

 「グラウンドで、とにかく動かしておけばいいというサッカー」と「じゃまじゃまサッカー」を比較すると、教材による子どもの成長の違いを感じることができた

 

 ②林さんの小2実践結果(『埼玉大会提案集』2009)

 「あんなに嫌がっていた女子が、痛くても自分からボールに向かって行くようになった」「学級お別れ会のプログラムの中に『サッカー』が賛成多数で初めて組まれた。女子のサッカーに対する見方を変えられたことが一番の喜び」。

 

 ③日名さんの感動(『たのスポ』2008,8)

 子どもたちが一斉にドリブルし始める。と、あちらこちらで起こる歓声。1学期には見られなかった子どもたちの顔が、ありました。ドリブルして守りを突破していくうれしさ、点を入れる喜び、攻めてくる子のボールを蹴り出す楽しさ、またそのボールを取りにいく子の目の輝き。サッカーの得意な子は、「これ、めっちゃ楽しいぃ〜」と、次の攻めへとスタートラインへ急いでボールを運びます。「わかる・できる」の中身は始まったばかりであるけれども、授業が変わるとこれほどまでに子どもが変わるのかという現実を、しかと目に焼き付けた瞬間でした。

 

 

 では、どんな特徴をもった教材なのかの説明です。                                                                             

 

(2)「じゃまじゃまサッカー」(バージョンⅠ・Ⅱ)の基本設定(日名、2011『東京大会提案集』)

 

じゃまゾーン

 

①中盤のボール運びをなくしシュート局面(ドリブルシュートや直前のコンビネーション)に限定。

 

②「攻防の切り替え」をなくし攻撃場面と防御場面を区別。


③「じゃまゾーン」の設定(ディフェンスはゾーン内のみ移動可能)。

 

「じゃまゾーン」の効果

●じゃまゾーンの前後の空間がうまれパス空間とパスうけ・シュート空間がわかりやすい(じゃまゾーン手前・じゃまゾーン・じゃまゾーン奥という3つの空間ができ、どこでどうする、という空間理解が容易)。 

 

 ●じゃまゾーン前後の空間ではディフェンスの攻撃機能が制限されることで、オフェンスのボール保持時間や空間(オフェンスの防御機能)を確保する。(球技における攻撃と防御の機能の二面性、長谷川『体育科教育』1990−10、森『体育実践とヒューマニズム』にもあり)。ディフェンスに攻撃されないので余裕ができ「すき」がみつけやすくなり、意図的な攻撃が可能となる。

 

→ 攻撃や防御に集中できる状況がうまれ、全員がサッカーのおもしろさであるディフェンスとのかけひきをふくんだドリブルシュートの喜びを味わえる。

 

④発展性のある課題設定(※研究途中)

  バージョンⅡにおいて1人でぬけきれない状況(つまづき)がうまれたときに、「パス」(味方とのコンビネーション)の必然性がひきだされ、発展性のある探究的な学習を仕組むことができるなど。

 

 

(3)じゃまじゃまサッカーの基本の学習過程(船富、2002,1、日名、2012−7・8、『たのスポ』)

 

バージョン

ねらい(オフェンス)

ゲームの様子

Ⅰ:

攻め3人

守り2人

ボール1人1個

ドリブルシュートを全員が体験。

 ・ドリブル突破の「すき」をみつけやすくする

・「すき」があればドリブル突破する気構えをもつ

スタートラインから1人1個のボールをもってゴールめがけてドリブルし、シュートをめざす。ディフェンスはゴールとボールの間にはいる。

攻め3人

守り2人

ボール1個

・ボールをもたない2人がパスコースにはしりこみパスをもらいシュート。

・ディフェンスがボールをもたない2人のうごきにつられたらドリブル突破。

 ※下のリンクに作戦図の例があります。

チームにボールが1つになることでドリブルシュートが困難となり、パスの必然性がうまれる。フリーの子がパス空間をみつけて移動しパスをもらいシュート。ディフェンスをひきつける動き。 

Ⅱで最初にボールを保持して攻め役になれる子が半数以上or中学年でⅢへ

新ルール

・縦パスはじゃまゾーンにはいってから。

・じゃまゾーン内でもシュート可。

(船富、2002−1)

 

オフサイドルール(日名、2012)。

・ディフェンスとのかけひきの出現

  じゃまゾーンの入り口でまちかまえている守備を「早い横パスでふりきり、次にすばやい縦パスをシュートゾーンにおくる。

・ドリブル突破をひきだす。

  フェイントで守備をはずして、縦の突進をこころみる(※これは1:1なので疑問)。

 

 ※上は船富さんの2002年時点での説明。下のリンクにある作戦図は日名さんのオフサイドルールのものです。

ディフェンスと対面する場面がうまれディフェンスをひきつける動きに緊張関係がましてくる場面。 その分、意図的なコンビネーション(パスーシュート)が必要となりきまったときの喜びは大きくなる。

審判や記録係

 「今のは、じゃまゾーンからのシュートだからだめ」

 「今のパスは、じゃまゾーンの手前からしたからあかん」等の判定・記録

 → 中・高学年のゲーム様相分析につながる。

※ この先「攻防切り替えバージョン」等もあるけれど、省略。

 

作戦図はこちらにあります。 大阪支部ホームページより

「じゃまじゃまサッカーとは」

http://www6.plala.or.jp/manzo/jyama.pdf

 

他にもじゃまじゃまサッカーの実践報告や指導過程について紹介したページがあるので興味のある方はこちらも。

大阪支部の教材紹介のページ

http://www6.plala.or.jp/manzo/dosikai-j.htm

 

ということで、じゃまじゃまサッカーのバージョンの特徴を確認すると、

 

 ・対戦人数にかかわらず、バージョンⅠは1人1個ボールをもっている。

 ・対戦人数にかかわらず、バージョンⅡはチームで1個ボールをもっている。

 ・対戦人数にかかわらず、バージョンⅢは重要(シュート)空間へのパス(縦パス)を制限する。

         ※オフサイドルールの学習(運動文化の社会性にかかわる学習内容)

 

ということになりますね。

 

 

では、じゃまじゃまサッカー教材の課題はどこにあるのだろうか、ということでまだわずかな資料しかよんでいませんが、ちょっと考えたことをまとめてみました。なので誤解もあると思いますので注意を。

 

2.発達段階(教育課程)からみたじゃまじゃまサッカー教材の課題

(1)じゃまじゃまサッカーの誕生背景から(日名、2009『埼玉大会提案集』)(※未整理)

 ○1975年学校体育叢書『サッカーの指導』

  ・「2:0」理論にもとづく指導系統を提案

 

 

 

   ゲ

   |

   ム

   4対4の練習

   3対3の練習

   2対2の練習

   4対0の練習

   3対0の練習

   2対0の練習(基礎技術)

基礎技術以前の感覚練習および経験的能力

   表.「2:0」理論にもとづく指導系統(田口、1988『山梨大会提案集』) 

 

 → 「2:0」理論にもとづく指導系統では「ゲームにいきない」状況がうまれた。

   そこで、ディフェンスとのかけひきをめぐる学習内容を重視し「2:0」→「2:1」→「2:2」→「3:0」とつづく実践提案が増加。

 

 ○1987年全国研究大会(神戸)

  ・子どもの認識発達の論理にもとづく指導系統へと方針転換。

  ・子どもの気づきからコンビネーションプレーへの必然性を。

    → ゲームの様相発達研究の展開。

 

  ○1997年(愛知)から足でのボール操作をふくんだ低学年の的あてゲーム遊びが提案される。

  ・この提案をベースにして低学年むけの「じゃまじゃまサッカー」教材が開発。

 

 → こうしてボール運動教材の教育課程(発達段階)をかんがえる中で開発され発展させられてきた教材

 

 

(2)小学校段階ではどのような戦術・技術指導の目標をもつのか(森、2005−8『たのスポ』)

 

 小学校段階での体育授業は、すべての子どもたちが運動(スポーツ)の本質的なおもしろさが何か「わかり」、そのおもしろさをあじわえる戦術・技術的な能力をみんなが獲得する(みんなができる)ことを大切にする。※戦術・技術指導に限定しているので注意。

 

 ①運動(スポーツ)の本質的なおもしろさとは

  ・たのしければなんでもいいというわけではなく対象となる運動(スポーツ)がそれなしには成立しないおもしろさ。

  ・ボール運動(球技)では得点競争が目的であり、「得点をあげるプレイや場面」に特質がある。

 

 → じゃまじゃまサッカーが「得点をあげるプレイや場面」に限定している理由はここにあります。パス技能やドリブル技能だけではなくシュート局面にあらわれるサッカーの独自のおもしろさをたっぷり味わうことを低学年でも大事にして学習させていくことが「サッカーを教える」ことになるし、また「サッカーのおもしろさがわかる」子どもを育てることにもなるとかんがえるのです。

 

 ②そのおもしろさをあじわえるためにどんな技術を学習させるのか?

 授業論の基本としては「基礎から応用へ」系統的指導をめざすわけですけれど、体育同志会ではその発展性を「基礎技術」を柱として考えていきます。「基礎技術」の仮説的条件としては以下の3つがあります。

 

 ①特質(サッカー独自のおもしろさ)を形成している最小単位(2人とか3人とか)の技術、

 ②最初から最後(ゲーム)まで質的に発展していく技術(当然ですが、最初練習して後は必要ないものは教えない)

 ③誰もがかならず習得すべき技術

 

 こうした考えから、ボール運動の「基礎技術」は「コンビネーションをふくむシュート(とその阻止)」(最小単位2人)と仮説的に規定されるわけです。

 

そしてこのコンビネーション(グループ戦術)の高まりをどう発達段階にあわせて用意するかが球技の教材づくりで重要なポイントになると考えているのです。

 

・コンビネーションにおける予測・判断の一致(ぴったり息があう)

  予測・判断が容易な変化のすくない場面からダイナミックな変化のある予測・判断がむずかしい場面へ

・コンビネーションのバリエーション(多様性)の増加

  最も簡単で基本的なテクニックとポジションでのコンビネーションから実践で要求される様々なテクニックとポジションからのコンビプレーへ

・コンビネーションの複雑性(適応可能性)のたかまり

  相手の低い(制限された)対応力におうじたコンビネーションから高い対応力に自在に対抗できるコンビネーションへ

 

さて、ここで問題です。 

 

 (3)発達段階(低学年)からみた「基礎技術」規定の問題

=「低学年のコンビネーション(発達・欲求・習熟)問題」

 

「基礎技術」規定の2つめにある「最初から最後まで発展する」の「最初から」とはいつからのことか? という疑問です。

 

 ・<シュートボール教材にて>

  シュートを意識した中でボールと人(敵・味方)の動きの予測判断(空間的・時間的)が必要となってくる「2人のコンビネーションによるパス―シュート」が,低学年期の児童にはかなりハードルの高いものであることはまずしっかりと認識しておかなければならない(安武、2013『KICK OFF 』)。パスによるコンビネーション不要論も。(兵庫支部集団研究、2002〜2004;大阪支部集団研究、2007・2013)

 

  ⇒ コンビネーション VS 技能の未習熟(発達)段階

低学年では指導なしでも逆サイド空間には気づく,しかしパス・キャッチ・手渡しに困難。

 

  ⇒ コンビネーション VS 低学年の運動欲求(発達段階)

コンビネーションでシュートを制限するよりも,シュートする喜び,自分がプレーの中心になっておもいっきり運動する経験を味わわせることが大事。

 

  一方で、コンビネーションには「2人でうまくなる世界」「できない子のシュート」「意識的なプレーのたのしさ」「連携プレーのダイナミックさ(魅力)」がある。低学年の指導では「ジレンマ」をかかえている

 

  ・サッカーではこんな声も

    小学校2年生の「児童たちが、20時間程のサッカー学習で、全員が『足裏でボールを前後左右に移動させる、インサイド、アウトサイドを使ってドリブルしながらパスやシュートができる』ようになったのである」(船富、2002,1『たのスポ』)。

 

こうして「低学年のコンビネーション(発達・習熟・欲求)問題」とは、 「運動発達の問題か、指導(習熟・欲求)の問題か」は相互にからみあっていて回答が困難となっている

 

では

    

(4)低学年の目標設定をどこにおくのか?

<折り合いをつけたところに設定しては?>

  ・子どもの認識・技能の発達によりそうという視点

  ・「コンビネーション」への着目の教育的意義

→ <提案>低学年(小学校2年生まで)の目標を「基礎技術(コンビネーション)への到達」とかんがえてよいのではないか

※提案の意図:1年から2年までをみこす、単元全体をみこす、教育課程を視野に。

 

  ※ サッカーでいえば、1−2年をとおして「ボールをけるたのしさ」から、「(ドリブル)シュートするたのしさ」へ、そして「ディフェンスをかわすコンビネーションからシュートするたのしさ」へといざなう指導過程に。周辺から中心へと運動文化への参加をうながす指導。1年生でパスをいれるかどうかは「ボールをけるたのしさ」や「(ドリブル)シュートするたのしさ」をたっぷり味わわせたときの条件(時間数や発達状況)による?。

 

<低学年での具体的な目標として>

①戦術的課題の到達点は「数的優位な状態でのコンビネーションからのシュート」までを基準に。 

②「イーブンナンバーでのコンビネーションからのシュート」は挑戦的課題?

   2:1や3:2でのコンビネーション(パス空間に移動する)

     パスする人とうける人のどちらかがディフェンスをかわすだけでよい。

   2:2や3:3でのコンビネーション(パス空間をつくりだす)

     互いにディフェンをひきつけ空間的優位をつくりだすコンビネーションが必要となる。これが低学年ではむずかしいだろう。しかしへたな子が2:2の方がたのしいという感想を示した例がいくつか報告されている。

 

 → じゃまじゃまサッカーで②にどこまでせまれるか。①や②までの指導過程の検討が課題?

 

今回の提案はけっしてあたらしいものではありません。則元さんが作成した(?)「ボール運動・球技のの技術・戦術指導の構想」でも低・中学年では感覚づくりと基礎技術がしめされています(『運動文化研究』2011)より。ただその到達点が曖昧だったので、そこを明確にしてみた、というものです。

 

(5)低学年の実践課題から(まにあわず・・・省略)

 

次に学習内容からみた課題です。

 

3.学習内容からみたじゃまじゃまサッカー教材の課題(※未整理)

(1)「学習内容(わかる)」と「わかるをひきだすルール」をどう設定するか。

 ☆球技の本質=「攻撃と防御による時空間の争奪」

  オフェンス(目的:シュートによる得点)

 

オフェンスの戦術的課題とは「得点につながる攻撃局面(シュート)の創造」

 =「どのようにディフェンスをかわしてシュート空間をつくりだせばよいか」

 

 

 ①防御ラインをやぶる(ノーマーク)

         |

 ②数的優位をつくる(オーバーナンバー)

         |

 ③空間的優位をつくる(オープンスペース)


     ※ディフェンスはこの逆(ヤーン『スポーツの戦術入門』1998)。

 

 → ゲームのルール設定(課題設定)への示唆(ちょっと強引に…)

 ①ディフェンスの動きを制限して防御ラインをやぶりやすくする工夫。

※「じゃまゾーン内でのディフェンス」+とりにいってはだめなどの制限もできる。またオフェンスには浮き球ボールの禁止や浮き球ボールは手でとめてもいいという調整もできる。

 ②対戦人数をオフェンスの数的優位な状況にして攻めやすくする工夫。

       ※3:2などの数的優位の状況からスタートする。

 ③ボール保持・じゃまゾーンの設定やコートの大きさを調整して攻めやすくする工夫。

 

→ 重要なのはこれらの工夫が教師のねらいとする学習内容(攻防関係をめぐる「わかる」)をひきだすための意図的計画的な工夫(教授学的改変)でなければならないということ

 

では、どんな学習内容をさぐっていけばよいのだろうか。

以下の内容をまずはかんがえてみてはどうだろうか。

 

<個人戦術(バージョンⅠ)>

①1:1でディフェンスラインをやぶりノーマークでシュートする方法(作戦・戦術)

    <グループ戦術(バージョンⅡ以降)>

②2:1・3:2などの数的優位の状況からコンビネーションにより防御ラインをやぶり、ノーマークでシュートする方法(作戦・戦術)  

③数的優位あるいは2:2・3:3などの状況からディフェンスをひきつけて空間的優位をつくりだし、防御ラインをやぶってノーマークでシュートする方法(作戦・戦術)

 

つまり、1:1での攻防、2:1・3・1での攻防、2:2・3:3での攻防をめぐる課題や方法である。

 

で、一応、じゃまじゃまサッカーはオフェンスとディフェンスの攻防の発展的関係(=学習内容)が不明確ではないか?という疑問をしめしてみました。

※注意:まだほんの一部の文献にしかあたってない!すみません。 

 

とはいえ実はいくつかみつけた・・。

 

やはり熊本支部であった。

 

(2)熊本支部の集団研究(「グループ学習プロジェクト」小6林田実践(1993・夏『たのスポ』)

 子どもたちが攻撃と防御の関係を創りだしていく授業を展開し以下の表が結論として整理された。 

段階

課題

作戦

学習内容

攻撃Ⅰ

点をとる

全員攻撃・全員守備

ドリブル、パス、シュートの仕方と基本のルール

防御Ⅰ

すぐにシュートチャンスをあたえる

まもりをおく

ボール保持者とゴールのライン上を守備

攻撃Ⅱ

シュートがうてない

壁(リターン)パス

壁パスをもらう場所にはしりこむことができる。重要空間の認識

防御Ⅱ

ぬかれてシュートをうたれる

2人守備

マンツーマン

攻撃Ⅲ

壁パスが通用しなくなる

重要空間を創りだす

意図的に重要空間を創りだすことができる

 

どういう学習状況(対戦人数等)かは不鮮明だけれど、左の枠からよんで、相互発展的関係は明確。

 

つまり、(攻撃Ⅰ)まずは点をとることを課題にして作戦は全員攻撃・守備になってそのときの学習内容はドリブル…となる。

 

(防御Ⅱ)するとディフェンスはすぐにシュートチャンスをあたえてしまうことをなんとかしなければならなくなり、守りをおくことにする。このときにボール保持者とゴールを結ぶラインで守ることが学習内容となる。

 

(攻撃Ⅱ)ということで、ドリブルシュートができなくなりパスの必然性がうまれ、またパスができるようになる空間理解が学習内容になる。

 

(防御Ⅱ)そしてパスでぬかれてしまうのでディフェンスは2人体制をとってマンツーマンディフェンスをこころみることでパスをふうじようとする。

 

(攻撃Ⅲ)おっとディフェンスにつかれたままではパスがとおれない、そこでディフェンスをかわして2人のパスーシュート空間を意図的につくりださなければならなくなった。ではフェイントやディフェンスをひきつける動きを学習しよう。

 

という流れだ。

 

 → しかし、攻撃Ⅱにリターンパスがきているけれど、これをどうかんがえるのか(発達段階)また、個人戦術やグループ戦術の具体的な動きとしての関係がしめされていない。

 

 → <提案>この表を参考にしながら低学年の攻防の相互発展的関係を整理したい

 

 

(3)ディフェンスの指導からはじめる小学4年生の林実践(2011『東京大会提案集』)

<実践の特徴>

 「内線に入って守るマンツーマンディフェンス」を指導

 「パスを通すためにどうディフェンスを外すか」を考えさせる。

 条件:じゃまゾーンの裏に待機してしまいボールとゴールの間に立って守れない状況になるのを防ぐため、「作戦スタート時にはじゃまゾーン手前にいる」「浮き球禁止」「コートの広さの調整」をおこなった。そのため「裏に一本出せば終わりじゃないか」(作戦・戦術を使用する必然性がない状況)という状況にはならなかった

 

紹介されている作戦例(3:3):

 サイドの2人が一度さがって前の空きのスペースをつくる作戦。さがる動きにディフェンスをつらせるためにゾーン手前にさがったときにパスをだすように指示するとディフェンスがついてくるようになり裏へのパスもとおるようになっていった。

 

<結論>

 じゃまゾーン内をどう突破するかという点にしぼって、作戦・戦術を教科内容に設定することは十分に可能である。内線・内角によるマンツーマンディフェンスと、それを外すための動き。パスコースを開けるための動きなど。

 

 → 内線指導は本当に有効なのか?※低学年でみんながパスが必要な状況はうまれるのか

 

 たとえば、内線を忠実に守ろうとしても、じゃまじゃまサッカーではゴール前のサイド

にディフェンスがいけない空間があるため、サイドを直進してしまえばよくて、ゴールにむかってドリブルすつ必要がない。たとえば、おもいつきだけれど、バージョンⅡになったときに「じゃまゾーン」をサイドまでひろげるとか(ややこしくなる)内線が共通の課題になるような工夫がされなければ学習内容になるのはむずかしいとおもう。

 

内線が大事だ!となっても、サイドにはしりこまれてしまっては、「本当に内線が必要なのか?」と疑問がどうしてもうかんでしまうだろうから。

 

 

4.まとめー「じゃまじゃまサッカー」教材の作戦・戦術学習における教材的価値をさぐろう!ー

 ・作業課題

  ○オフェンスとディフェンスの相互発展的関係の明確化。

   → サッカー教材で学ばせたい学習(認識)内容をさぐる(教育課程をふまえた教材理解)。      

  ○サッカー教材で学ばせたい学習(認識)内容をひきだすためのルール設定や授業づくり。

 

①1:1で学習させておきたいことをとばしてしまう?

<仮説>じゃまじゃまサッカーでは1:1の緊張関係がよわくなるのではないか

 ・オフェンスとディフェンスが同数でも人が交差することで1:1の状況を回避できる。

 ・ディフェンスが並列しているため1:1で相手を突破するために利用するスペースがない。

  参考:山本実践(GGP)

 

 1:1で学ぶべきことはイーブンナンバーで得に必要になってくる。1:1ではフェイントなどの相手を意図する方向にひきつけて自分がドリブルする空間をつくりだすことが必要となり、その動きは2:2でいきてくるのだ。1:1で学習させておくのか、2:2・3:3でのイーブンナンバーの状態になってから学習させるのか、という違いになるのだろうか?指導系統をふかめていておきたい。

 

②「内線・内角をまもる」ディフェンスと「裏でまつ」作戦の是非。

 <仮説>じゃまじゃまサッカーではシュートゾーンにいくことが目的となり「内線ディフェンス」によるドリブル突破の共通のつまづきを発生させることはできないのではないか

 低学年での「裏でまつ作戦」をどういう段階として位置づけ学習内容化し発展させていけるのか。

 

③学習内容との関連からルールの工夫の仕方のバリエイションとその目的の整理。

ルールの工夫がたくさんなされているはずだが、共通の目的でいくつかの工夫の仕方をくくることもできるはず。何を教えるのかとセットで工夫の仕方を整理する必要がある。

 

④小学校低学年(1-2年生)の「基礎技術(コンビネーション)への到達」を目標とする授業づくりとは?

 <提案>低学年(小学校2年生まで)の目標を「基礎技術(コンビネーション)」への到達とかんがえてよいのではないか。

1−2年生で、「ボールをけるたのしさ」から、「(ドリブル)シュートするたのしさ」へ、そして「ディフェンスをかわすコンビネーションからシュートするたのしさ」へといざなう指導過程は?

低学年のじゃまじゃまサッカー教材の指導論をくみたてる必要がありそう。

 

 

※ちなみに、低学年の体育実践の課題との関連性もとりあつかいたい。プレーの平等性をどう学ばせるのかといったこともふくめて・・。

 

おまけ ↓

 

  • 球技における主体者形成の課題(長谷川、1990−9『体育科教育』)

<技術学的認識の貧困による「チームメイトへのイラだちと疎外感」の生成>

 攻撃や守備にかんする「感性的認識」は、失点や失権やボール奪取や不利な状況の発生や敗北等がもたらすマイナス感情の先取りと結び付き、ゲームのさまざまな局面で焦りやイラだちの感情を引き起こす。

  ・へたなものへの感情的な怒鳴り「しっかりせえや!」

  ・指示どおりのプレイを努力しつづける疎外状況

 こうした運動文化(スポーツ)の疎外状況を回避し、「スポーツという文化を支配する力を獲得していくためには試合それ自体の戦略や戦術にかんする内容の獲得とそれを自分達で整理したり変革したり開発したりしていく能力が不可欠である」。

 

※長谷川さんの問題意識

 「技術学的認識」の未形成やスポーツ「主体」の未成熟は、授業においてスポーツの「競争(勝ち負け)や「競技性」に真正面から取り組み、「戦略」や「戦術」を直接的な指導内容としていくことなしには克服できないのではないか。この仮説の実証は、①スポーツの戦略・戦術「内容」の「原理的・法則的」研究、②「戦略的・戦術的能力」の解明とその「形成」・「発達」法則の解明、③これらを基盤とした「実践」研究の蓄積にまたなければならない。