TAMAKOSIの日記

体育・スポーツや教育にかんしてかんがえたことを中心につづっていきます。研究会の情報も案内していきたいとおもいます。

小2クリケットの実践―教育課程を視野にいれた授業づくり―

2日目です。

 

2つめの実践報告は入口さんのハンドベースボールとクリケットの実践(小2)です。

 

むむ。。入口さんの目が充血している。

 

夜中まで飲んで6時間後のことをかんがえるとねむれなかったようです。

 

しかしそんな疲労もかんじさせず、入口さんは元気に発表されました。その反応は、「新任2年目とは思えない・・・」そんな驚きの声が続出したのでした。

 

自分のあゆんできた道のりをみつめ、実践記録をかき、おまけに子どもの姿がみえる報告に、みんなうっとりとしてしまいました。

 

さて、入口さんは非常勤講師の時代,教え込みの指導であったとふりかえりました。その後「子どもからなんでもださせるのよ!」と口を酸っぱくしていわれ続けた初任者指導+同志会での学習をへて教え込みからの脱却をめざす試みがはじまったのででした。

 

入口さんはハンドベースボールとクリケットの実践を報告しました。入口さんの実践のねらい(願い)は「ベースボール型の(うつ)おもしろさを低学年の子どもたちみんなに味わわせたい」というものです。

 

今回はクリケットについて少し紹介したいとおもいます。


ベースボール型につながると考え2年生を対象に実践したクリケットは基本のルールから入口さんと子どもたちが対話をとおして自分たちのルールにつくりかえていきました。

 

みんなでつくりだしたルールは次のとおりです。

 

 

直径7m程の円の真ん中から360度どこでもよいのでボールをうつ。

ディフェンスが円のまわりを近くと遠くの2層にわかれてまちかまえる。

オフェンスはボールをうったら円内に直線におかれたコーンとコーンの間を往復し、わたった数だけ得点となる。

ディフェンスはうたれたボールをとめてそこに全員が集まり「アウトー!」といい、オフェンスはとまらなければいけない。

つまりオフェンスは自分がコーンを往復する時間をかせぐためにあいた空間をねらってうったり遠くにとばす必要がでてくる。

 

 

このゲームを2年生がおこなうとどうなるか、これが非常におもしろい。映像がみせられないのが残念です。

 

なんと、2年生だところがっていったボールをとめようとするときに自分の足でけってしまいなかなかとめることができないのです。

 

なのであまりボールがとばない子でも5往復と高得点をとれてしまうのだ。

 

ボールがうたれたあとにわーっとみんなが一斉にボールをめがけてはしりだす姿はまるでマスフットボール(カークウォールのバー)ですね。さすがイギリス文化からうまれた運動文化だけあるといったところでしょうか。

 

そして、これは大人がためしにやってみたところ、足がおそい人の反対にとばそうという作戦がでるのですけれど、子どもたちからはそういった作戦はでてこなかったのでした。

 

このことは低学年という発達段階として興味ぶかいものがあります。

 

ただし,いくら低学年が興奮系の楽しみ方をするからといっても、学ばせる中身を教師がもちたいという議論になりました。

 

たとえば、同志会が教材研究のすえ創造したドル平では、低学年で水遊びからはいるのですけれど,そのときには呼吸や脱力や浮きといった重要な要素を意識した遊びを教材とするのです。

 

このように発達段階にあわせて部分的な面白さの追求をめざす場合であってもその先につながる世界を教師のねらいとしてはもっておきたいということです。

 

入口さんの場合は、クリケットからベースボール型にもっていきたいというおもいがあるので、そのヒントはベースボール型の戦術や文化的特性にあります。

 

ベースボール型につなげるならばクリケットをおこなうとしても(クリケットでないにしても)どのルールを残し,または変更していくのかを文化の視点もふまえて吟味していきたい。ベースボール型のおもしろさを保障するための「かえてはいけないルール」と「かえていいルール」があるとおもうとの意見がでました。

 

ちなみに、アメリカ文化からうまれたベースボールとイギリス文化からうまれたクリケットはゲームの特徴が当然ことなります。このこともふまえ、本当にクリケットからベースボールへの発展でよいのかも吟味することが必要ですね。

 

ところで、入口さんのクリケット実践ではボールをとにかくとおくにとばす心地よさを重視し、とおくにとばすためのコツをさがしていきました。

 

そのコツのさがさせかたがユニークなのです。

 

入口さんはクリケットを子どもたちに紹介したときに、「クリケットをオリンピック種目しよう!」となげか、みんなをクリケットのルールづくりに夢中にさせていきます。さらに「みんながつくったクリケットなんだから、つくった人が教えられないでどうする!教えられるようにコツをさがそう!」とよびかけ、これまた子どもたちは夢中になってとおくにとばすうちかたをかんがえていったのでした。

 

入口さんの子どもたちのハートをつかむ絶妙な声かけによって生き生きとした授業が展開されたことが想像できます。

 

しかし、入口さんはおしえたい「わかる」中身を十分に整理していませんでした。そのため様々なコツはでたものの、どれを共通課題にして習熟の対象にしていくか選択することができませんでした。

 

また球技の場合、時空間の争奪をめぐって攻防が相互関係をもって発展していく関係にあります。しかし入口さんはオフェンスが発展するためのディフェンスの「わかる」中身を準備していませんでした。

 

めぐりめぐって・・・やはりベースボール型ではどのような戦術がもとめられるのか、そしてどんなたのしさがあるのかをあきらかにして、そこからかんがえていく必要があるのです。

 

入口さんは「うつ」ことのたのしさを大事にしました。議論では、低学年の子どもに味わわせたい次のたのしさはベースをふむときのアウトかセーフの緊張感(ドキドキワクワク)ではないかという意見がでました。ではその緊張関係を演出するルールとは・・?ということが問題となってくる。

 

こうして①目標とする運動文化固有のおもしろさとそれとむすびつく戦術・技術の解明 ⇒ ②発達段階にそった教授学的改変が、(教育課程を視野にいれた)授業づくりにはもとめられるのです。それを検討するのに、文化的理解も不可欠となることが議論の中でみえてきました。

 

その他実践の課題としてあげられたのは次のことである。
「うつ」楽しさをたっぷりと味わわせることをもっと中心にしてはどうか。
②できない子でもうつことができる道具は何か(痛くない,とぶ,ボール操作性など)。

入口さんのこだわりの、力のこもった実践に大変刺激をうけた。

 

これからもその熱意で様々な実践を展開していくでしょう。たのしみにしたい。